Vol.19「他人の知的財産権を侵害お菓子やTシャツなど、身近な商品・ビジネスでも起こり得る知的財産権侵害。知らなかったでは済まない怖さ。しないために必要なこととは?」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

○身近な商品でもある侵害の事例。特許権や商標権は故意でなく過失であっても侵害が成立してしまう恐ろしさがありまする。

「モンシュシュ」という商品名のチョコレートを販売している洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」が、「堂島ロール」というロールケーキの販売元である「モンシュシュ」に対し、商標権侵害があったとして、「モンシュシュ」の使用差止と損害賠償請求訴訟を提起した事件がありました。

裁判では商標権侵害が認められて、「モンシュシュ」の使用差止と損害賠償請求が認められ、堂島ロールを販売する洋菓子店の「モンシュシュ」が、「モンシェール」に社名変更しました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110706101915.pdf
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130314085013.pdf

「モンシュシュ」は、フランス語で「私のお気に入り」を意味する「MONCHOUCHOU」からとったようですが、すでにお菓子について商標登録されていたことで、このような結果になりました。

他にもまた、Tシャツなどのグッズのデザインとして使用したロックバンド名(「ELLEGARDEN」)の一部が著名なファッション雑誌名(「ELLE」)に似ているとのことで裁判になり、その結果、グッズ販売ができなくなってしまった事例があります。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080324091152.pdf

一方、侵害とはされませんでしたが、学習塾が広告に使用した「塾なのに家庭教師」というフレーズが、別の学習塾の登録商標と似ているとして訴訟になった事例があります。
(⇒塾の名称に対する配置や字の大きさから塾サービスの内容を示すものであったとして結果は非侵害)。(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101126131252.pdf

このように、知的財産権侵害というのは、意外と身近に起こりえます。上記のケースでもれらは、当事者の方は決して故意に行ったわけではないと思いますが、過失であっても侵害とされてしまったり、そこまでいかなくても裁判になってしまったりしています。

いったん、差止されてしまえば、その名前で商売することができなくなります。
つまり、営業努力が無になってしまうのです。

事例として商標権の場合を挙げましたが、何も商標権に限ったものではなく、特許権や意匠権でも同じです。

「知らなかった」ではすまないのが知的財産権の侵害なのです。

○調査すれば権利内容を見つけられる

では、侵害と言われないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。

そのためには、商標権であれば、使用予定の商品やサービスに関するネーミングやロゴと同一又は類似の登録商標の有無を事前に調査する必要があります。

特許権であれば、実施予定の発明が含まれる特許権の有無、意匠権であれば、実施予定のデザインと同一又は類似の物品に関する意匠権の有無となります。

特許権等の知的財産権は、上述のように相手方の行為を差し止めしてしまうほど強力な権利です。

そのため、土地などと同じように権利内容や権利者情報が公示されています。

これらは特許庁に行けば誰でも見ることができます。特許庁に行かなくてもネットで検索することができます。

無料で行えるものとして、以前にもご紹介したことがある特許電子図書館があります。
(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)

このサイトでは、特許権・実用新案権・意匠権・商標権を検索することができます。

○万能の権利「世界特許」はない。国別の権利なので、国毎の確認が必要

この知的財産権ですが、世界共通ではなく、国別に成立します。
つまり、日本国内で取得した権利であれば、日本国内でしか通用しません。
別の国でも保護したい場合には、その国の権利を取得する必要があります。

「世界特許」という言葉をたまに聞きますが、このようは万能な権利はありません。

出願時の手続きの一部が統一されている制度があり、出願時の手間が省ける場合がありますが、権利の設定はあくまでも国別になります。

そのため、権利内容を調査する場合にも、実際には調査したい国別に調査する必要があります。

国によっては、日本のようなデータベースが整備されていますので、そのようなものを使って調べることもできます。

○権利内容を理解するのは意外と難しい

調査の際、同一のものが見つかった場合には、判断もしやすいのですが、同じところもあれば違うところもあるようなものが見つかった場合には、果たして権利内容に含まれるのかどうか、検討が必要です。

例えば、特許権の場合、「~の形状を有するクレーン用」という記載が、クレーンに用いるのに特に適した大きさや強さ等を持つ構造を有するという、「フック」を特定する事項という意味に解される場合には、「~の形状を有するクレーン用フック」は、同様の形状の「釣り用フック(釣り針)」とは構造等が相違するから、同じ「フック」でも別のものとなります。
(審査基準:http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun/hypertext.html)

商標権の場合には、例えば、「ミギオン」と「ミチオン」、「コロネート」と「CORONET」は、一字違いなので同一の商標ではありませんが、類似と判断されます。

商標権の場合には、商標の類似だけではなく、使用する商品等の類似も関係します。例えば、航空機による輸送について「JALFLOWER」と「JAL」とは類似ですね。
(審査基準:http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyou_kijun/20_4-1-11.pdf)

どのような場合に権利範囲に含まれてしまうのか、ということをあらかじめ検討しておく必要があります。

○営業時に情報収集すべし

何れにしても、いざ侵害となってしまったときには、今までの苦労が水の泡になるだけでなく、損害賠償をしないといけない場合もあって、損害が大きくなってしまいます。

営業部隊は会社の顔として社外からさまざまな情報収集をします。その際に、このような侵害についての情報も入手できるようにしておくことも必要かもしれません。

自社が侵害するのを防止するだけでなく、自社に特許権等があれば、それらを第三者が侵害していないかどうかに目を配る必要もあります。

知的財産権は、形のあるものではないので、意識しないとわからない情報です。コンプライアンスの面からも事前の予防には注意する必要がありそうです。

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