Vol.02 お米業界を震撼させる14万円/1俵の米づくり[農業ビジネス]

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回取材した増田充志さんは、千葉県香取市で古代稲という有色素米(色のついたお米)のみを栽培し、収穫した古代稲を種として全国のお米農家に販売する専業農家だ。およそ10haの圃場で栽培されている古代稲の種類は、黒米や赤米など220種類にもおよぶという。白いお米の約10倍の売価になる古代稲について、現状と課題を聞いた。

食の健康ブームが火付け役。手軽に栄養価を摂取できるのが魅力

 古代稲が高価で取引される理由はなんだろうか。その要因としては、お米の栄養価にある。例えば、古代稲で代表的な黒米(玄米の状態が黒いお米) は、その黒い色素がアントシアニンポリフェノールを多量に含んでいるという。このアントシアニンポリフェノールは、ワインなどに含まれる成分だ。摂取方法としては、お米を炊くときに白米に対して5%程度混ぜて炊くだけ。

 この手軽さと、毎日無理なく摂取できる点も人気になった要因だ。

 

米を作れば売れる時代は終わった。国産品の普及が最重要課題

 しかし、大人気で高値だから栽培する、という安直な考えは難しい。なぜなら、古代稲を作っても売れないことが少なからずあるという。

 現在、日本で流通する古代稲(とりわけ黒米や赤米)の大部分は中国産だという。中国産は国産に比べ安く手に入り、消費者側も商品自体の魅力で購入している状況だからだ。

 しかし増田さんは「だからこそ国産を普及させることが必要だ」という。現在は、種籾の生産の傍ら食用の古代稲も生産し、全国の道の駅などに置いてもらっているという。これらの活動を通じて、より多くの消費者に国産の古代稲を実際に食べてもらい、国産のおいしさ実感してもらいたいと考えている。

 

 後継者がいない。この技術を若い世代に伝えたい

 積極的な活動を行なっている彼だが、とても心配していることがある。農業における後継者不足の問題だ。彼のところも例外ではなく、後継者不足に悩んでいる。220種類にもおよぶ古代稲を見分けるのは大変だが、これらを栽培し、それぞれの種類にあった種籾用の調整を行なうのはもっと大変だ。

 次の時代の新たな農業を切り拓く若者を探したいと考えているのだが、220種類の古代稲を栽培するだけで1年は過ぎてしまうという。220種類それぞれの稲刈り時期が異なるため、8月から12月までほぼ休みなしで稲刈り作業が続くというから驚きだ。

 

 

プロフィール

増田充志さん(43歳)。古代米220種類の種籾生産者。
1990年頃、蔵に眠っていた古代米らしき種籾を栽培しはじめ、約20年かけて高品質なものを選抜。
古代稲を活用した地域活性を提案。主な事例として、鉄腕DASH「DASH村」などがある。
古代稲の種籾生産の傍ら、国産の古代稲普及のために食用の古代稲も生産。
全国の道の駅や有名ホテルなどに提供している。

業種・業態

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