起業するにあたり、「創業融資を利用したい」、「なんとかして審査にパスしたい」、「十分な金額の融資を受けたい」、とお考えになる方は多いのではないでしょうか。
現実には創業融資の審査にパスすることは必ずしも容易ではなく、日本政策金融公庫の審査通過率は50〜60%ほどだと言われています。事前の準備なしで創業融資を申し込んでも、通過するのは厳しいといえます。
そこで、融資を成功させるための事前チェックリストをご紹介します。しっかり準備して、創業準備・融資を成功させましょう。
- 目次 -
創業融資を申し込む前のチェックリストを確認しよう
創業準備・融資を申し込む前に、まずは以下の基本的なポイントをチェックしましょう。
融資の条件を確認しよう
日本政策金融公庫のホームページには、創業融資をはじめとした各種融資メニューの掲載がされています。まずは、きちんと創業融資に関する要件を読み込んでください。
一般的に創業融資と呼ばれているものは、「新創業融資制度」です。創業の要件、雇用創出等の要件、自己資金要件の全てに該当すれば、無担保・無保証人で利用することが可能です(審査の結果融資されないこともあります)。
参考リンク:
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
創業の基本的なポイント
事業計画書を作る前にはっきりさせるべき基本的なポイントは以下の通りです。
- 自分の経歴とスキル
- いつ、だれと、どんな事業を始めるのか?
- 売上の見込みはあるのか?
- どのくらい経費を使ってどのくらい利益が出るのか?
- どのくらいで返済が可能なのか?
これらは融資を審査する担当者が必ずチェックする基本事項ですし、そもそもあなたのビジネスが成功するかどうかを左右する、大事な要素です。まずはこの5項目をはっきりとさせてから創業準備にとりかかりましょう。これらの項目についてある程度方向性が固まったら、次に事業計画書の作成に移ります。
事業計画書の作成は「創業の手引」「創業のポイント集」を参考にしよう
日本政策金融公庫のホームページに、経営指標や創業計画書の記入例が掲載されています。業種別に記入例が掲載されていますので、こちらを参考に事業計画書を作成してください。もし同じ業種がない場合は、できるだけ近い業種を参考にしましょう。
書き方がわからない場合は、日本政策金融公庫が主催しているセミナーなどに参加して話を聞いてみるのも良いでしょう。
参考リンク:
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyou03.html
「事業計画書」も大切だが「人物像」も重視される
さて、創業融資において重視されるのは事業計画書の内容面だけではありません。
「事業計画書」については、実現性の高い計画であれば、融資を審査する公庫の担当者は「貸したお金が戻ってくる可能性が高いだろう」と考えるでしょう。
一方で、事業計画書以外の要素として、申込をした人がきちんと誠実に返済をしてくれそうな人物かどうかも考慮されます。
それが判断されるポイントは、面談時の受け答えが誠実か、各種支払い(公共料金やクレジットカードなど)が遅れなくなされているか、といったところになります。
また、「このビジネスをやっていくにふさわしいスキルやノウハウを持っているか」という観点での人物評価もされることになります。
事業の成功を裏付ける、人物背景もチェックポイント
創業融資においては、あなたがそのビジネスを始める理由や整合性などが重視されます。一言で表現すると、「なぜその事業を始めようと思ったのか?」という点に、いかに理由をつけて答えるかということが重要です。単なる思い付きではなく、創業に到るまでのストーリーをしっかりとわかりやすく整理しましょう。
以下は創業までのストーリーに反映すべきポイントの一例です。
- なぜ創業しようと思ったのか
- その事業を成功させるために積んできた経験
- 周辺情報やノウハウの収集
- 具体的なプラン
- 事業を継続させるための自己資金について
というようなポイントを問われます。
- そのビジネスをあなたが行う理由は何か。
- あなたがそのビジネスをどれだけ成功させることが出来るのか
- それらの理由が、論理的に整合がとれているか。
等という視点で、融資担当者は、あなたという人物と、これから始めようとしている事業を審査します。
事業計画作成サポートツールでは、健全経営をしている先輩経営者を独自調査した結果と、あなたが作成した事業計画とを比較・判定が出来ます。
開業資金と売上見込みを入力するだけで、あなたの事業計画の安全率を測定することが可能です。
更に、作成した事業計画はCSV形式、Excel形式、PDF形式でデータをダウンロードでき、日本政策金融公庫の融資申請時の事業計画書としてご利用頂けます。
あなたの事業計画は成功する計画かどうか、是非チャレンジしてみてください。
創業融資チェックリストはコレだ
ここまで説明した内容を元に、創業融資の審査を通過させるためのチェックリストを見てみましょう。創業融資を受けるための基本的なチェックリストなので、一つひとつ細かく検討してください。基本的なことがらを丁寧に検討していくことが、申込の次の面接をクリアすることにもつながります。
それでは、下記のチェックリストでセルフチェックをしてみましょう!
■ ■ 創業融資チェックリスト ■■■■■■■■■■■■
創業融資の要件を満たす事業ですか
・・・日本政策金融公庫の創業融資のページを確認してください。いくつかの条件があるので、まずはご自身の事業が要件を満たすかどうかチェックしましょう。
創業動機は明確ですか
・・・ただなんとなく、思い付きで創業しても、そこにお金をつけてくれる人はいないでしょう。なぜ創業するのか、また創業する必然性があるのかというところをきちんと説明できることが大事です。
創業する事業について経験や知識はありますか
・・・全くの素人の分野での創業において、他の企業に勝つのは大変難しいでしょう。経験がない場合でも、一緒に創業するメンバーに知識を持った人がいるなど、創業する事業については詳しいことをアピールできるようにしてください。
事業を継続していく自信(資金面・人手など)はありますか
・・・事業を継続していくためのお金や、人手などが確保できているでしょうか。単なる自信ではなく、数値的な根拠が必要です。
家族の理解はありますか
・・・小規模事業者にとって、家族の理解は必須です。家族の協力が得られそうかどうか、今一度確認してみてください。
創業場所は決まっていますか
・・・オフィスや工場を借りるなど、具体的なめどはついているでしょうか。創業場所が決まっていない場合は、早めに決定しましょう。
セールスポイントはありますか
・・・自社のサービスや製品が類似のサービスと違うところはどこでしょうか。他社のサービスや製品とも戦っていける根拠を示しましょう。
売上高や利益などを予測してみましたか
・・・予測で構わないので、売上高や利益を出してみましょう。試算の結果として、毎年の利益の見込み額から、事業が継続できるかどうかが決まります。
自己資金は準備してありますか
・・・新創業融資制度を利用する場合、自己資金要件は、創業資金総額の10分の1以上です。最低でも自己資金要件はクリアしましょう。
事業計画書としてまとめてみましたか
・・・事業計画書をまずは作成してみましょう。作成する中で、どう書いていいのかわからないとか、自分でも不安なところが出てきます。融資担当者としても同じところで疑問に思う可能性が高いので、悩むところはしっかり悩んでください。
事業計画書を作るときは、創業の手引きなど日本政策金融公庫の出している情報を参考にしましたか
・・・すでに融資されている事業を参考にすることは、成功への近道です。参考にできそうだと思ったところは取り入れましょう。
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すべてチェックが入れば、創業の準備は完了で、融資を申し込める条件が整っているといえます。
実際に創業者融資の申し込みをすると、審査担当者から上記のような内容を聞かれますので、準備しておきましょう。
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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