DGトップ 特集 起業家インタビュー MY BEST LIFE 挑戦する生き方 第32回 東京ヤクルトスワローズ 古田敦也 東京ヤクルトスワローズ 選手兼監督 古田敦也 後編2

東京ヤクルトスワローズ 選手兼監督 古田敦也 後編2

last modified 2007-08-04 13:27
ドリームゲートスペシャルインタビュー MY BEST LIFE 挑戦する生き方
古田敦也氏インタビュートップ前編1前編2後編1|後編2|ギャラリー


<未来へ~古田敦也が目指すもの>地域、ファン、チーム、みんなが喜ぶ世界を創りたい


東京ヤクルトスワローズ 選手兼監督 古田敦也

 2006年のシーズンから、僕は選手兼監督をお引き受けしました。そのうえで、「Fプロジェクト」という取り組みを始めています。いろんなイベントや活動をしてみたのですが、結果はイマイチでしたね(苦笑)。それでも、2005年まで毎年ずっと動員数が減っていたところを、昨年は約1%アップと、やっと微増に戻せたのでまだまだこれからかなと。伊達眼鏡でもいいので、眼鏡をかけて球場に来てくれたファンに特典をプレゼントする「メガネデー」や、同じく「浴衣デー」「仮装デー」など、面白いデイリーイベントで話題を撒きましたから、今年あたりはもっと効果が出てくるんじゃないですかね。というか期待しているんですけど(笑)。

 そもそも東京って、地域密着感が希薄な街って言われるでしょう。でも、大阪のタイガース、福岡のソフトバンク、千葉のマリーンズ、札幌のファイターズなどは、「自分たちのチームだ」って盛り上がっている地域が実際にあるじゃないですか。我々も東京という場所に根ざしたい。昨年からチーム名に東京を入れて「東京ヤクルトスワローズ」としましたし。ここで生まれ育った人や、進学や就職で東京に来られた方などに、スワローズのファンになっていただき、一緒に盛り上がっていきたいんです。プロのスポーツクラブって、野球に限らずお互いの地域性を持って戦うことがすごく面白いでしょう。だから、この地域の方々向けのイベント、野球教室、学校訪問などを行なって、まずは我々が地域を活性化していこうと。それが、東京ヤクルトスワローズの役割であるとも思っていますから。

 もうひとつは、球場自体をエンターテインメントの場所として演出することですかね。野球はプレーに間(ま)があるスポーツですから、もちろん我々は真剣にプレーして、その間にプレーとは違った楽しみを取り入れていく。たとえば、先ほどのデイリーイベントや打ち上げ花火もそうですし、おいしい食べ物や、オーロラビジョン、音楽などなど、神宮球場に行ったらゲームも面白かったけど、すごく楽しかったと思ってもらえるような仕掛けをどんどんやっていきたいですね。「今日は何しようか?」と迷っている地域の人たちが、「そうだ神宮に行って応援しよう!」、そう思っていただける場所になれればいいですね。

 今年の目標ですか? 当然、本業ですから「チームを日本一に」っていうのが一番ですよね。それ以外っていうと、やはり地域の活性化でしょうか。それと僕もいろんなところにお邪魔してるんですが、いじめなど教育問題が皆さん一番の関心事のようです。「Fプロジェクトの“F”はフレンズのF」でもあるということで、小学生を球場に招待して、野球というスポーツを介して友だちをつくってほしいなと。我々の本拠地である東京23区には約840の小学校があるそうなので、今年はできるだけたくさんの子どもたちを神宮球場に招待したいと思っているんです。


<これから起業を目指す人たちへのメッセージ>常に上のレベルを目指したいなら、変化を楽しみ自分を進化させること


東京ヤクルトスワローズ 選手兼監督 古田敦也

 起業を目指す方へのメッセージですか。業種など目指されているものがいろいろですから、一概には言えないかもしれないですが、「柔軟に対応する」ってことじゃないでしょうか。僕は初志貫徹って言葉があまり好きではなくて、もちろん高い志を目指すために努力するのはいいことだと思うんですが、最初に決めたものの軸をぶらしてはいけないという感覚が強すぎるとなかなか先に進めないと思うんですよ。自分が前に行こうとしたり、新しいことに挑戦したいなら、やはり変化が必要でしょう。特に僕ら野球選手は技術屋なので、これまではこうやって打っていたけど、もうひとつ上のレベルに行きたいと思ったときには、当然違うやり方にトライしなくてはいけない。ピッチャーの球が速くなってきたとか、こんな変化球を投げるようになってきたとか、僕らはそれにもすぐに対応しなくてはいけないんですから。何が言いたいかというと、あまり今の自分に固執しすぎると、本来の可能性にブレーキをかけることになるかもしれないということ。僕自身も、変化を嫌う人はなかなか上のランクに行けないという実感がある。もちろん、ただ変わればいいっていうわけではなくて、変化することでその先に進化があるという考え方をすることですよね。

 もうひとつは、できることをとことんやる、積み上げていくということでしょうか。これは、プロ野球選手としての僕の感覚ですが。「年間何勝しますか?」ってよく聞かれますが、そんなの全くわかりませんよ(笑)。目の前の試合をただ一所懸命やるしかないんです。もしも「目の前の試合をどうしますか?」って聞かれたら、たとえば1イニング1イニングを大切にするとか、1個のアウトをどうやって取るかを必死で考えるとかですよね。野球はアウトを3つ取ればいいので。もっと言えば、1球1球どうやって集中して、相手の裏をかいてやっていくか。そうやって突き詰めて、積み重ねてずっとやっていくと、たぶん、試合に勝っているんですよね。そして振り返れば勝ち星も多くなっていると。

 小さなことかもしれないですが、僕らの世界でいえば、自分にできる目の前にあることに真剣に取り組んで、積み重ねていくことが大きな勝利につながっている、そんな感覚なんですよね。いろんな考えの方がいらっしゃいますから、もちろん対極の考えもあるのでしょうが、僕はそう思っています。

<了>




取材・文: 菊池徳行(アメイジングニッポン)
撮影: 刑部友康

 


次のページ
戻る



古田敦也氏インタビュートップ前編1前編2後編1|後編2|ギャラリー


 
 
Skip to content. Skip to navigation