経営知識は体系があってはじめて活きる
MBAでは人、モノ、カネ、情報といった経営資源について、「体系的」に勉強することに重きをおいています。その理由は、MBAで習うようなそれぞれの科目が、実際のビジネスではつねに有機的に相互作用しているからです。
例えば、一生懸命に売り上げを上げても利益が出ない場合に、われわれは自分の得意分野にその解決策を求めがちです。マーケティングが得意な人はつねにマーケティングにばかり目を奪われてしまいがちなのです。
ところが、その根本原因が、経営戦略であったり、販売管理費や、固定費、限界利益率であったりする場合には、マーケティング戦略だけでは、当然解決できません。それゆえに、プロフェッショナルは、それぞれの関係について経営を全体から俯瞰する視点を持つ必要があります。単発のビジネスセミナーや本で勉強するのと、MBAで勉強することの大きな違いは、この「俯瞰」するための体系的な知識の獲得にあります。
御立 尚資氏(ボストンコンサルティンググループ日本代表)は、俯瞰の視点を例えて「幽体離脱の視点」といいます。つまり、一生懸命マネジメントをしている自分を、客観的に上から見ているもう一人の自分を手に入れることなのです。
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■「戦略家への壁」~頭の使い方の癖を知る~
御立 尚資(ボストンコンサルティンググループ 日本代表)
※(テレビ東京系)ワールドビジネスサテライトのコメンテーターとしておなじみの御立さんです。
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知識レベルなら90%は書店で入手できる
ここ数年で、書店で見かけるMBAの入門書が倍増しました。MBAのエッセンス集、ケーススタディ、また実際に使われている教科書など、実は「知識」のレベルでは、一般に手に入らない情報は、ほとんどありません。
そもそも、MBAの教科書は、戦略はマイケル・ポーター先生、マーケティングはコトラー先生など、世界的にはある程度標準化されています。その気になって50万円も出せば、ほとんどのメジャーなMBAの教科書は買うことが出来ます。ところが一方で、ちょっと名の通ったビジネススクールに留学すれば、最低でも2500万円のコストが必要です。それでは、50倍以上の高額の投資をしてビジネススクールで学ぶ事には何の意味があるのでしょうか?その重要な要素の一つは、「議論」の価値にあります。
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議論する力 ~その知識、本当に通用する?
欧米のビジネススクールでは、議論、ディスカッション、コミュニケーションを非常に重視します。これには理由があります。経営者やマネージャーとして活躍を目指す限りは、多くの人を巻き込みながら、ある目的に向かって組織を導くリーダーシップが求められます。一人で理論を叫んでみても、ビジネスはできないのです。
リーダーシップをとるには、自分の意見を論理的にアウトプットし、他の人に伝え、そして動かす力が重要です。そのエンジンとなるのが、論理的なコミュニケーション能力です。
そしてお互いに議論を戦わせ、フィードバックしあい、切磋琢磨しながら、新しい知識を実際の活動に活用する「稽古」をクラスのなかで行うのです。この過程で、「論理思考」「問題解決」「プレゼンテーション」「チームワーク」などのスキルが同時に鍛えられます。これを英語で「Cross-Fertilization(クロス・ファーティライゼーション)」と表現します。
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Peer Pressure (仲間のプレッシャー)
また、一人でジーっと考えるよりは、「自分の意見が人に見られている」という心理的プレッシャーのなかで議論をすることで、自分の決めてしまった「限界」を破る大きな力となります。
例えば「ソフトバンクの携帯電話戦略」というテーマに対して、あなたが「今後ソフトバンクは任天堂と連携すべきだ。その理由は以下3点である」という発言をすれば、いろいろなコメントや、アドバイスが寄せられます。そういった他者から提供される“客観的視点”(ツッコミ)により、新しい視点を発見したり、自分の弱みに気づいたり、自分や他者の感情の動きを分析し、大きく成長できるのです。「暗記」中心ではないビジネススクールの授業において、こういった議論は学生にとって一番価値のある経験です。
経営が組織のコラボレーションによって行われている限り、人に考えやビジョンを示して合意点を見つけたり、人から学んだりすることは必須のスキルです。先生のありがたい話をひたすら聞いて書き取り、授業の最後に質問するのは本来のMBAの勉強ではありません。理論や事例をベースにしながらも、ファクト(事実)や分析に基づいて積極的に自分の意見を表明し、議論しなければならないのです。このような環境は少し前までは一部の限られた人しかアクセスできませんでした。しかし現在では複数の人が参加する議論の環境がインターネットで実現し、サイバー上で教室議論を行うビジネススクールも出てきています。その気になれば、ビジネススクールの入り口は開かれています。
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プロの「技」を知る

また最近のMBAスクールの課題は、現実の世界をいかに教室に取りこむかです。
例えば、ある会社のビジネスケースを扱った場合、その会社の経営者が実際に教室に来てフィードバックするといったことも頻繁に行われています。やはり想像に基づいた机上の空論だけでは、なかなか役立つ知識が得られないからです。
その他、トップ経営コンサルタント達が、MBAで習うような知識を前提にしてどのように働いているのかを、その人自身の“表情”や“肉声”を通じて学ぶことは、思った以上の効果があります。なぜならそこには、自分の未来の姿がオーバーラップするからであり、また時として知識を超えた人間としての「生きざま」を見るからです。経営コンサルタントが、現場でMBAの教科書どおりのことしか提案できないようでは、何の価値もありません。誰でも考え付くようなことに、1円だってコンサルティング料を払う人はいないのです。それを1カ月数千万円のオーダーで受け、経営のアドバイスをしている人にはやはり教科書を超えたノウハウがあるのです。
このように一歩抜け出た実務家達の「切れば血の吹き出るような新鮮な現場話」に触れ、理論に命を吹き込むことが大切になってくるのです。
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ビジネス・ブレークスルーチャンネル
http://bb.bbt757.com/
トップコンサルタント、経営者、ビジネススクール教授の講義を放送している衛星放送局。
動画視聴サービスも行っている。
